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6話 奴隷の扱い

Author: みみっく
last update publish date: 2026-02-26 13:58:33

「……いや、主様が強すぎるんですよ……。領主兵の中で精鋭部隊を集めていますからな」

 エドウィンは、護衛兵の前で平然と俺を「主」と呼んだ。護衛兵たちがざわつき始めたが、俺もエドウィンもそんなことは気にも留めない。その時、店の店員が書類を手に駆け寄ってきた。

「そうか? 手続きは済んだみたいだぞ。さて、帰るか……」

 俺がエドウィンを見ると、まだ何かを企んでいる様子だった。

「もう一件、お付き合いください」

 エドウィンがそう言うので、俺はジト目で彼を見つめる。

「もう、変なものは要らないからな……」

 俺の言葉に、エドウィンは笑顔で応える。

「いや、宿屋と食事のご提供ですよ」

 そう言って、渡された書類にエドウィンが領主が認めたというサインをし、俺に手渡してきた。

「それで、その二人は主様の正式な所有の奴隷となりました」

 いろいろと気遣ってくれるのはありがたいが、俺はそんな身分じゃないんだがな。馬車へ案内されると、奴隷となった二人は兵士に案内されて荷馬車の方へ向かわされていた。

「おい、そいつらは俺の所有だろ。こっちに来いよ」

 俺は奴隷となった二人に手招きをした。エドウィンが驚いた顔で言う。

「……奴隷ですぞ?」

 いや、だから……奴隷の扱いは知らないんだ。奴隷だろうと俺の仲間になったんだ。仲間扱いで良いだろう。

「そうだ。俺の仲間になったんだ。文句でもあるのか?」

 俺がエドウィンを睨みつけると、彼は慌てて頭を下げた。

「い、いえ……ございませんぞ。主のご自由に……」

「俺は……奴隷の扱いに慣れてないんだ。今度、ゆっくり教えてくれ」

 まあ、奴隷の扱いなんて知りたくもないが。俺は俺流で付き合っていくつもりだしな。

 馬車に乗り込むと、俺の両サイドにネコ耳とクマ耳の少女が座り、向かいにエドウィンが座った。馬車が出発する。

 二人の首元を見ると、アニメなどで見るような、いかにも怪しげな形状の首輪がしてあった。逃げようとしたり、逆らったりすると締め付けられたり、激痛が走ったりする、あの類だろう。二人を見つめるが、敵意も害意もなく、むしろ安堵感のようなものを感じた。まだ好意になる要素なんてない、と自分に言い聞かせる。

「それは、逃げ出したり反抗すると激痛がする魔道具でして、一度付けたら最後。もう一生、外すことは出来……」

 エドウィンが説明を始めた、その時だった。俺はネコ耳の少女を抱え、膝に乗せた。

「はわわ……。うにゃ……」

 ネコ耳の少女は可愛い声を上げ、頬を真っ赤に染めて驚いていた。

 ネコ耳の少女を膝に乗せたユウは、その首輪に触れ、解析を始めた。付与魔法がかけられているのを感じる。

 見た目も悪いし、何より邪魔だ。ユウは付与魔法を無効化させ、ロックされていた首輪の返しを魔力操作で解除した。ゴトッと音を立てて首輪が外れ、少女の膝に落ちる。

「そ、そんなハズは……」

 エドウィンが目を丸くして驚愕の声を上げた。

「それは……王国の上級魔術師でも解除が不可能な魔道具ですぞ! 奴隷が外せないよう、厳重な付与魔法と物理的に外すことが不可能な仕組みにしてある……」

 エドウィンは言いかけて、その場で固まってしまった。

 ユウは隣に座っていたクマ耳の少女の首輪も、同じ要領で外した。それから、足枷も邪魔だと感じる。これも逃走防止だろう。

「お前達、逃げる気あるのか?」

 ユウは二人を見つめ、尋ねた。「うん、ある」と言われても困るのだが。

「な、ないです……行く場所も……ない……です。暮らしていけない……です」

 ネコ耳の少女が怯えながら答える。だろうな、とユウは思う。逃げたところで家に帰れるわけがないし、たとえ帰れたとしても、兵士が押し寄せて逃走とみなされ、重罪での処罰は確定だろう。

「わ、わたしも……ないよ」

 クマ耳の少女・モコも、ユウを見つめて答えた。

 そうと分かれば、とユウは足枷も外してやる。そしてエドウィンに確認した。

「これ、違法なのか?」

「いや……違法という以前に、外せると想定しておりませんので。無理に外そうとすれば奴隷の命が奪われますし。奴隷が自ら外そうとする行為は違法ですが……奴隷の主が外したのならば……問題ないですな」

 エドウィンは苦笑いをしながら答えた。

「よし。じゃあ書面に……というか、エドウィンが黙っていれば済む話だな。護衛たちにも言っておいてくれな」

 ユウがそう言うと、エドウィンは「かしこまりました」と返事をした。

「お前たちの名前は?」

 ユウは二人に尋ねた。

「わたしは、ミー……です」とネコ耳の少女が答える。

 続けてクマ耳の少女が答えた。

「わたし、モコだよ」

 モコは笑顔で答えてきた。

 モコは、かなり人懐っこそうだ。すぐに仲良くなれそうな気がする。

「貴様たちは、奴隷だぞ……口の利き方に気をつけろ」

 エドウィンが、モコの態度を咎めるように注意した。しかし、俺は即座に反論する。

「いや、俺の仲間に口出しをしないでくれるか?」

 俺に睨みつけられ、エドウィンは再び反省した表情になった。

 その頃、ネコ耳のミーは眠そうな顔をしてウトウトし始めていた。緊張が解けて、眠気が襲ってきたのだろう。俺はミーの肩を掴み、自分の方へ引き寄せた。そのまま俺の膝を枕にした。

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